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Monochrome

俺の惚れ薬大作戦(仮)

 僕は今、この地球上に存在する全人類を代表して宣言しよう。
 ——人それぞれ、誰にも見せられないような”ブツ”が存在する、と。
 例えば、ベッドの下に潜ませた本。そして妄想を書き連ねた小説やたくさんのいけない写真、はたまた携帯電話やパソコンなどもそうだろう。腕とか顔についた引っかき傷なんかも個人的にはあんまり人に見せたくない。
 なんにせよ、それぞれの人がそれぞれの人に見せられない”ブツ”が存在する。
 では、それらを誰に見られたら一番まずいだろうか。いや確かに、何人たりとも見られたくはないが、その中でも絶対に見られてはいけない人が存在するだろう。夫、妻、彼氏、彼女、両親とか。
 僕にとっては、妹がそれに相当する。僕の”ブツ”はなぜだか妹系のものばかりだからだ。いや、そうやって誤解を恐れてお茶を濁しすのはやめよう。早い話、僕は妹が好きなのだ! もう少し具体的に言えば、僕は食べてしまいたいのだ! 愛してるぜ! 妹よ。兄ちゃんとABCその他諸々全てを経験しないかい? 一夏のアバンチュール。
 でもまあ、とりあえずそこまで行かなくてもいい。物事には順序が存在して、それを反故するといささか面倒なことになるからだ。まず、第一段階として、一緒にお風呂に入って、体の隅々や穴の奥まで洗いあいたい。もちろん、互いの肌を傷つけてはいけないので、それぞれの柔らかい部分を用いて。まあ、僕の柔らかい部分はすぐに硬くなるけどな! フハハハ! ちなみに妹もある部分は硬くなるよ!
 もちろん、法律的に、倫理的に、世間体的にそれがいけない行為だということは重々承知している。それが僕の中の常識であるからこそ手を出せないのだから。それら一連の行為を脳内で完結させても満足感を得ることはできるので、現状、妹に対してそういった行為を働くつもりはない。まあ、次の機会があればよろしくお願いします、程度の希望でしかない。性欲より食欲派なのだ。ちなみに、数えていいのかどうかは知らないが、一回目は幼いころの混浴。ただ惜しいことに僕はその時明確な性欲を持ち合わせてはいなかった。
 今は唇と唇をごっつんこさせて、おしりかじり虫よろしく「くちびるかじりむしー」とか歌いながら踊りたいし、一緒にお風呂に入って隅々まで綺麗にしたいし綺麗にされたい。一糸纏わぬ姿で首輪つけてほしいし、なんだったらそのまま散歩したい。妹の胎内で僕を解き放ちたいし、僕の中に妹が欲しい。それでも。確実に妹が僕に好意を持っていると断定できるまで、僕は行動に移すことはないだろう。タブンネ。
 そういうわけで、脳内姦をして過ごす僕の日常に、とてつもない情報が転がり込んだ。
 それは、媚——惚れ薬なるものの通信販売だった。愛染香とかそういう類のやつ。キャッチコピーは、朝ズボ! だった。意味はよく分からない。
 ウェブページを見てみれば、そこには強姦にも和姦にもご使用できます! と書いてあった。なるほど、早稲田の超自由な悪事が捗るわけだ。怖い怖い。
 ただ、僕はこの商品にとてつもなく魅力を感じていた。これがあれば、妹とできる。しかし、こんなものに頼ってしまっていいのだろうか。僕は別に超自由になりたいわけではないのだ。それに値段も張る。継続的な使用が必要らしいが、一回分が一万円もするのだ。いや、高すぎではないか。ていうか、継続的な使用ってなんだよ。依存性があるの間違いじゃないか。こんな危ないものを使うわけないじゃないか。ハハハ。
 財布の中身を確認する。三諭吉。オーケー。
 僕は意気揚々と入力フォームを埋めていった。まだ商品を頼んですらいないのに、脳内はすでにショッキングピンクだった。

 数週間後、宅配便の追跡サービスを見ながら自室をうろうろとしていた。あまりの興奮具合に、落ち着くこともままならない。それでも、ゴミ箱をティッシュでいっぱいにするわけにもいかず、結果歩き回ることにしたのである。
 ——ピンポーン。
「来た!」
 自室を飛び出し、玄関を開ける。目の前には青い囚人服を着た爽やかさとはかけ離れた歳とったおじさんが僕の荷物を持って立っていた。僕はすでにポケットに忍ばせておいた印鑑で受領印を押し、おじさんとの短い逢瀬を終える。
 自室へと向かう足は、いつもより早い。扉を開けて素早く体を滑り込ませる。戸締りも忘れずに行う。そんなことで僕はヘマをしないのさ。
 ダンボールに巻きつけられた過剰なガムテープを心を落ち着ける意味も込めて丁寧に剥がしていく。そうして中身を見ると、無意味な紙くずがたくさん敷き詰められている。それをかき分けると、ピンク色の透明な小瓶が鎮座していた。それを手に取り光にかざして見る。中には透明であろう液体が入っている。小瓶を傾けると液体は水平を保つべく揺れる。光を纏った液体は、なお一層輝いて見えた。
 小瓶を脇に置き、ダンボール内に差し込まれている説明書を見る。しかし、そこに書いてあるのは「飲ませるだけでオーケー」ということしか書いてなかった。この紙は一体なんのためにこの箱に封入されたのだろうか。困惑しながらダンボール内の紙くずを捨ててダンボールを畳む。リビングのダンボールゴミ置きに持っていこう。
 ……よし。早速使ってみよう。脇に置いておいた小瓶を見ると、倒れていた。倒れているのはいいのだが、この小瓶。密閉性がないらしくカーペットを濃い色にしていた。
「お? うえぇ!?」
 全部盛れとるがな! 確かに小瓶に対して半分しか入ってないなぁ、と思ったけどまさか普通に溢れていたとは……。なんでこんな漏れやすい容器を使ったんだ! デザイン性重視しすぎてダメな商品生み出してんじゃねー!
「あぁー! もうやだー!」
 すると突然、扉の開く音。
「うっさい死ね!」
 妹の飛び蹴りが僕の体にクリーンヒットし、僕は情けないことに下手こいた小島よしおみたいな体制になってしまう。僕は情けなくて涙を零す。そりゃ悲しいさ。一万の液体をすべて失った挙句小島よしおだもの。男でも泣いてしまうさ。
 こうして、俺のホレ薬大作戦(仮)はいきなりクライマックスを迎えたのであった。でも、七転八倒(誤用)だ! ここで諦めるわけにはいかないのだ。

 頰に血が滲む。体力を消耗しすぎたのか、呼吸のたび肩が上下する。脇腹が痛みを訴えてくる。
 そういった負の遺産を生み出したおかげで今、こうなっているのだ。目の前には、拘束した妹が座らされている。手と足を縛っただけだがなかなかどうして背徳感。亀甲縛りは諦めた。結び方がわからない。
 しかし、今年の妹は生きがいいな! ビチビチと必死に生を訴えている。まあ、先ほど捕獲したばかりだから当たり前か。こういうことは鮮度が命。とっととしよう。
「舐めろ」
 妹の頬に擦り付ける。妹の頬が少しずつ濡れていくのがわかる。別に、何で、とは言わないが。妹は顔を真っ赤に染め上げ、今にも茹で上がりそうな勢いだ。そして、必死に抵抗してくる。しびれを切らした僕は妹の頭を掴み強引に妹の口内へとねじり込む。そしてそのまま抜き差しを繰り返していると、妹の目は少しずつ蕩けたものへと変化していく。その目には後少しで涙となってこぼれ落ちそうな量の水分。閉まり切らない口からは涎がこぼれ落ちてカーペットを濡らす。
「ん……ぁ」
 頃合かなぁ、と思い抜いてやる。妹は未だ落ち着かない呼吸をどうにかしながらも言葉をなんとか紡ごうとする。
「あ、お……おにい……」
 お? 効果はあったのかな。
「——く、クソ兄貴! 死ね!」
 逆さま。揺れる世界に耐えきれない僕に衝撃が襲う。軽い脳震盪を起こしながら開けた目には天井が映る。
 頭の痛みに追随して、顎に痛みが走り、口の中に金属類の味が広がる。ああ、死ぬ。妹はもうすでに部屋を出たようで、揺れる視界のどこにも映らない。
「あー……な」
 とてつもない疲労感に浸りながら、僕はその場を動かずに今後の立場のことを考えていた。
 ふと右手を見ると、未だにカーペットが握り締められている。液体がこぼれていた部分を切り取ったものだ。妹の唾液がたくさんついているものだ。あとで美味しく食べよう。
 未だに続く痛みを引きずりながら、あぁだから嫌なんだ、と独り言をいった。

   * * *

 ちなみに、惚れ薬は本物だったらしく、妹からのラブコールは鳴り止まない。
 ただし、父親に。
 僕の部屋を出た目に写り込んだのはトイレに行こうとした親父だったらしい。妹はそれから私が父親の便器だ! なんてはしたないことばっかりをいっている。父親の視線が痛い。
「お前のそういうところがこういうことを引き起こすんだろう。反省しろ。次はお前抜きになるぞ」
 それは勘弁願いたい。もう海より深く反省させていただきます。
 僕は僕の作業を見事に失敗した。警戒心とか色々あるだろう。今回の妹を食べるのは、まだまだ時間がかかりそうだ。でも、若いうちにしたほうがいいから、なるべく頑張らないと。僕はリビングに飾られたたくさんの妹が映る写真を眺めながら、そう思ったのだった。

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