電車

疲労困憊の電車の中 繰り返すように微睡んでは
夢が見せる快楽にどうにも抗いきれなくて

揺れで突然に目を覚まして 確かめるように目を向けたら
どこか知らぬ駅名で居場所もわからなくて

とりあえず降車して 路線図をチェックした
ここから戻るのには どうやら遠いらしいぜ

もう戻れないよ 僕は無意識に離れすぎた
元に戻るためのお金すらもなくて
ホームの雑踏に 一人の静寂を
知らない人ばかりの世界に目が眩んだ

思考停止する時間の中 立ち尽くす今日を振り返れば
いつもこんな生活で 何にも残せやしないんだ

過ぎた時間から手を離せず これからはいっそどうしようか
ずっとこんな生活を続ける以外なくて

とりあえず乗車して 誰かと笑っていた
それでもほかの人は 僕より上手く生きてる

もう辞めれないの 僕は自意識が育ちすぎた
元に戻すための勇気すらもなくて
間違えた雑音に 離れゆく足音を
知ってる人ばかりだった

「こんなはずじゃないんだ」
繰り返した言葉の奥底に眠る声 そいつをどうしようか
何度だって叫びたい 僕は何を叫べばいい?

あのとき隣にいた あなたが笑っていた
それだけで少しは許せる気がしていたよ

もう嗄らしきった声で小さな応えを叫んだ
どこに届くための応えかわからなくて
それでも精一杯 足音に追いついて
知らない人ばかりの世界に辿り着いた

気がつけば終着駅に着いてしまった